専業主婦に憧れて

退職後の時間潰し日記

山あり谷あり

二日前、久しぶりに絶望の谷底にいた。

どこか知らない場所へ消えてしまいたい。

もし車があれば遠くまでドライブし、海でも山でもとにかくひとりで泣いて頭を空っぽにする時間が欲しかった。

アメリカにいた頃は、こんな時いくらでも癒しスポットがあった。ちょっとドライブすれば、きれいなビーチや湾や広大な自然公園がいくらでもあった。よく人気のない海を見て黄昏れた。

波打つ水面や無限に広がる空や緑、地平線の彼方を見て、ちっぽけな自分の存在を再認識すると少し気持ちが軽くなった。

お洒落で居心地の良いカフェに行き、フレンドリーな店員さんと挨拶を交わし、コーヒーを飲みながらなんとなく人間観察をして気分転換をすることもあった。

 

それが今現在、車も所有していないし、この辺りには海も公園もない。カフェだって、満席の上に行列しているスタバくらい。

わざわざ人混みの多い繁華街まで行く気にはならないし、どこかに消えてしまいたくても炎天下の中徒歩では遠くに行けず、結局近所のブックオフをふらついて、比較的木が茂っている短い川沿いを歩き、スーパーで夕飯の買物をして帰ってくるという、普段と大差ない時間を費やす他なかった。虚しい。ジムでも行くかな。ため息。

実家には絶対行けない。私の顔色に異常に敏感な母に心配かけるだけだから。

暗い気持ちで帰宅した途端に雨が降ってきた。涙雨だ。(無理やり)
もうどこにも行く気がなくなった。

 

絶望の正体は、普段は考えないようにしている夫婦間のこと。

ずっと相談してきた、高校からの付き合いの友達が言った。卒婚したら?と。

彼女には今まで色んな話をしてきたが、決して別れを勧めてこなかった。夫のマイナス面をわかりつつもプラス面に目を向けるようなアドバイスをくれた。
なのに。遂に卒婚してもいいんじゃないかと言ったのだ。旦那さんは一人で生きる方が向いてると。

その瞬間、ずっと目を逸らしていた、人生の大事な選択を誤ったかもしれない事実を目の当たりにしたようで、重苦しい失望感に苛まれた。

私は彼女に愚痴りながらも、心の底では彼女に夫の肩を持ってほしいと思っていた。でないと夫の負の部分は、客観的に見ても負であると認めることになり、救いようがなくなるのが怖かった。彼女が、”でも旦那さんにもいいところがある”と言ってくれることが、現状維持の支えとなっていたのだ。

 

多少のことは見ない振りをして暮らしてきたが、それでも彼が意味不明な原因で怒る度に心がザワザワヒリヒリする。

初めは話し合う努力をしたが、夫に改善を望んだり期待するのは無駄だと悟ってからは、その都度自分で自分を鼓舞し前向きな気持ちを作り上げ、やり過ごす術を身に着けてやってきた。私の努力と我慢の上に成り立っている夫婦と言っても過言ではない。

どんな夫婦にも不平不満が付き物だろう。それはわかっている。
妻の家事担当が当り前、それも構わない。とっくに諦めている。自分の気の持ち方次第で克服できた。

そんなことより私の望みは心穏やかに暮らすことだ。

いたわり合って助け合って、思いやりを持つ。願いはそれだけなのに、未熟で短気な夫にはそれができない。

心の平穏がいつまで経っても訪れない。

気を遣って生きていくなら、一人の方がよっぽどましだとずっと思っている。

いたわり合えない、一方的に偉そうにしている人と一緒にいてなんの意味があるのか。

ぶっちゃけこのままでいてもプラスはないと思う。

 

だがある程度不自由なく生活できるこの暮らしから、別の道を踏み出す気力や勇気がない。年齢は言い訳にならないと言われても、現実問題あと10歳若ければ。と思ってしまう。

心の平穏VSそれなりの日常生活を天秤にかけると、揺れ動くだけでどちらが自分にとって重いかわからない。

それに私はきっと夫を見限ることができない気がする。彼の本質的な部分が好きじゃないのに、一人になった彼を想像すると気の毒になるのだ。もう情だけ。

悲しいかな、顔を見るのも嫌というわけでもない。モラ男面を除けば犯罪を犯すわけでもないし、真っ当な人だ。

私に別れを切り出される夫の気持ちになると悲しくなってしまう。こんなところで共感力が邪魔をする。

彼を傷つけることへの抵抗感を抑えてまで、卒婚しようと言える気がしない。

 

なーんちゃって、彼は一人で清々するぜ~って言うかもしれないが。

 

このままでいいのかわからない。

でも人間て時間が経つと悲しみを忘れる生き物だ。今日はもう谷底から這い上がり、夫を目の前にしながらこんなことを平然と書いている。荒んだ気持ちに慣れてしまったのだろうか。怖。

とにかく、私が悩んでることなど1ミリも気づかない共感力のない夫に対して、こちら側だけが我慢して彼に合わせていくことを、もうやってられないと思う日が来るのか来ないのか。果たして。。

 

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