専業主婦に憧れて

退職後の時間潰し日記

待合室にて

大学病院へ歯の診察に行ってきた。

新しく建て直されたばかりの清潔な館内はとても立派で、採光に照らされた長~く奥まで続く通路全体が広々した待合室になっていて、いくつもの長椅子がズラッと並んでいる空間は明るく、病院特有の陰気な感じが全くない。

玉にキズなのはとにかく待ち時間が長い。どこの病院も同じだけど。

予約時間から2時間待ちとかは当り前なのだが、何のための予約なのかとどうしても毎回思ってしまう。

待ち時間が本当に苦痛で、元々ストレートネックなのに暇つぶしでスマホを見ているから益々首が痛くなるし、腰痛持ちだからずっと座っているのも辛い。ひどい時は腰の痛みから足の先がしびれてくる。

皆が同じ条件なので我慢するしかないのだが。
大人しくじっと座っておられる皆さん、リスペクト。

私はため息交じりにムズムズ、ウロウロしてしまうので。

 

今日も同じく待合の椅子に座り携帯をいじって耐えていた。
すると二つくらい開けて隣の席に年配の親子らしき女性二人が座られた。

お母さまがご年配だったので娘さん(私より年上に見えた)が付き添っているようだった。

しばらくして娘さんがやや大きな声で話されたので、お母さまが認知症なのだなと気づいた。

お母さまがお手洗いに行くと言うのを、今行ったばかりでしょ。と娘さんがなだめているのだった。

「もう先生が来るからここで待っておこう」

「お手洗いに…」

「今行ったばかりでしょ」

「でも先生が来る前に…」

「だからもう行ったんです!」

この会話を延々と繰り返していて、何度言ってもお母さまは覚えていないからわからないし、娘さんは次に呼ばれるからここを動くわけにいかないので困っている。

2人の状況がわかるだけに切なくなる。

娘さんは十分優しくされているに違いないが、どうしても時々荒げてしまう声を聞くと、お母さまに気の毒なように感じてしまう。でも娘さんだって辛いのはよくわかる。

 

ただの歯の診察待ちだったのに、介護の大変さを身につまされてしまった。

私があの立場だったら絶対にあんな風にできない。もっと声を荒げてイライラしてしまうだろう。

聞こえてくる会話が辛くて、途中で席を立とうかと思ったが、それもいかにも迷惑がってるように見えたら申し訳ないのでできず、ひとり(いや他にもいたかな?)ず~んと暗い気持ちになってしまったのだった。

きっと遠くない将来、私にも同じ現実が待っているかもしれない。

こんなどうしようもない私だが、それまでに悟りを開き包容力と大きな器を身につけ…
いや無理無理。人間そんなに簡単に変われないのはよくわかっている。

じゃあどうするのか。。

帰りのバスの窓から見える青い空を見て現実逃避するしかなかった、非建設的な結末。スイマセン。

ただ一つだけ思う。子供はいない私だが、もしあのお母さまのようになった時には何度でもお手洗いに行かせてもらいたい。トイレが近いので。
重ねてスイマセン。

 

 

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