専業主婦に憧れて

退職後の時間潰し日記

電話と心配性

電話が嫌いだ。
なぜなら両親が歳をとってからは、家から定期的にかかってくる電話はだいたい悪いことばかりだったから。
「お父さんが倒れた」「お父さんが怪我した」
「救急車呼んで今病院へ向かってる」
「お母さんの様子がおかしいからすぐに来て」etc.

家族からの電話=緊急事態という概念が結び付き、いつからか電話恐怖症のようになっている。着信画面を見て、家族の名前が出ているとゾッとして心臓に悪い。

よほど追い詰められていたのか予知夢を見たこともある。
母が「お父さんが大変!」と電話してくる夢を見た次の日、なんとなく嫌な気持ちでいると勤務中に本当に母から電話がかかってきて「お父さんが緊急入院するからすぐに来て」と。会社から病院へ急ぎながら、予知夢を見た自分に驚いた。

 

また母の話なのだが、母は度を越えた異常な心配性なので、今回私の怪我(軽傷)のことは言いたくなかった。ちょっと電話に出ないだけで、強盗に縛られてるんじゃないかと心配する人なので。あまりに有り得ない余計な心配をして勝手に苦しむので、母のためにも些細なことは伝えず、ずっと平常心でいてもらいたい。

だがいつもの買い物依頼がくる。頼りにされてもしばらく行けないので、正直に伝えた。ラインで。速攻心配の電話がかかってくる。

わかるよ、年寄りは電話のが楽だろうし、あの歳でラインできるだけすごいと思うけど。それはまた別として。

電話嫌いなの何度も伝えたよ。何かあったかとビクッとするのが嫌だって。でも構わずすぐかけてくる。

安心させれば電話してこないだろうと、病院へ行き(ちなみに待ち時間に4時間!)検査結果は大したことなかったとラインで報告しておく。「良かったね」とラインの返信。

よし、これでしばらく連絡も来ない!とホッとしていた次の日。着信が鳴った。わかっちゃいるけど恐る恐る着信画面を確認し、思わずゲッと言ってしまう。

「怪我はどう?」と母。え、昨日と状況変わってないよ?

母にしたら我が子が心配で励ましの電話だそうだが、私は電話嫌いなのでそっけない返事をしてしまい、また母ががっかりする。この繰り返し。

電話が嫌いなのは、何かあったんじゃないかと不安でいっぱいになるのもあるし、突然今していることを中断されるのもいやだから。自分勝手といえばそうかもしれないが、こちらにも都合はある。テレビのいい場面だったり、料理中だったり。

そんな気持ちからか、電話だと一段とつっけんどんな態度になってしまう。(小さい)
そんな自分にも腹が立つわけで、改めて自分の嫌な面を実感させられるから、そういう機会をやたら沢山与えてこられるのも本当に嫌で仕方がない。

性格の違いなのか、母が求める親子愛の形を提供することができない。私は父に似てベタベタした関係が嫌い。今に始まったことではないのだし、あきらめてくれたらお互いに嫌な思いをすることも減るのに。

天国の父はどんな気持ちで見ているのだろう。