週一で参加しているスポーツサークル。
「皆で楽しみましょう」をコンセプトにしているものの、レベルが高すぎて、私らヘタっぴ族は心が折れかけていた。
練習に参加するため家を出るのに気が重い。
皆さん優しくて熱心に教えてくれるが、なんせ一緒に試合をすれば、うちらはミスってばかり。それを責める人もいないけど、勝手に委縮し益々動きが硬くなってミスるという悪循環に。
また教えてくれる人により言うことが違うので、ヘタッぴ族は混乱し、陰で不満を言う人もちらほら。教え方が下手だとか、言い方がキツイだとか、毎日会社で我慢してるのにサークルでも色々言われたくない、とか。
なかなか進歩しない我々に、コーチが真剣に指導すればするほどこちらは息苦しくなってきていた。
別にプロを目指しているわけじゃないし、好きにやらせてくれぃと自我が芽生えたヘタッぴたちだけで、一度別の場所でやることにした。
いつもと違いお気楽に活動場所へ向かう。
サークルは基本真剣勝負だから、ふざけたことは言えない空気があるけれど、このメンツなら冗談言いながらでいいし。ミスしたってお互い様だから構わないし。何のプレッシャーもない。
しょっちゅう休憩してお喋りしながら、緩い練習を楽しんだ。
しかしヘタ同士で練習しても得るものはなく、なんとなく物足りない。
最後まで手応えがないまま、遊び感覚で練習を終えた。いつものような身体的疲労感は全然なかった。
帰宅してぼんやりと考える。
精神的には楽だけど、これを続けても技術的な進歩はないだろうなぁ。
結局サークルに何を求めるかなのだろうけど、勿論楽しさはその一つだけど、やっぱりやるからには上達もしたい。
レベルが高くてついていけずくじけそうになっていたが、亀のようにゆっくりだけど少しずつは進歩しているはず。もう少し辛抱して続ければもっと成長するかもしれない。何だかんだ言っても、指導してもらえるって有難い。
多少口うるさい(すいません)コーチも真面目なだけだし、改めて考えると、他の方々もヘタな我々に親切にしてくれるいい人たちばかりなのだ。
嫌になってそこから逃亡した結果、やっぱり恵まれた環境だったとわかったのだった。
なんだか勝手なのだが、一旦離れようとしたからこそ、サークルの有難さに気づけたので、結果的には良かったと思う。
逃亡者は四人いた。その内の一人が私と全く同じことを感じていて、あんなに辞めたいと言っていたのに、今一番やる気満々でサークルに復帰しているのだから、人間の心理とは奇妙なものである。
あとのメンツはあの時の緩さが心地良かったようなので、この先どうするのかはわからないが、もう皆いい大人なのでそれぞれで判断するだろう。若い頃なら裏切っただのなんだのと揉め事になったかもしれない。こんな時だけは年取ってて良かった。
そんな我々の迷走を知ってか知らずか、その後もコーチたちはあれこれと我らヘタッぴの世話を焼いてくれて、大会を目標に頑張ろうと言ってくれる。まだ無理だけど!
一度は離れようとした申し訳なさをそっと胸に秘め、新たな気持ちでこのサークルでやっていく腹を決めた、迷える我らである。