〜複数親知らずを抜くため入院した記録④〜
③はこちら↓
bittersweetfeeling.hatenablog.com
「山下さん(仮名)、終わりましたよ〜」
と呼びかけられて意識が戻る。
無事に終わったのか…
まだ意識は朦朧としている。
「山下さんわかる〜?手動かしてみて〜、目開けられる〜?」
目を開けて眩しい光と共に先生方の顔がボヤッと見えた瞬間、鼻に痛みが走る。私の自力呼吸を確認した先生が鼻の管を抜き取ったのだった。
直後に急激な寒気に襲われ、こんな風になったことがない勢いで歯がガチガチガチガチ鳴り出し、体もガタガタ震え出した。異常に寒い。すぐに電気毛布をかけてくれて徐々に震えが治まった。
痛い?だか、大丈夫?だか、意識の確認でやたら何かを聞かれるのだが、喋ろうとしても麻酔のせいか全く声が出ない。返事して〜と言われるので、声にならない声を振り絞る。
「声が出ません」(空気音)
なんとか2度目で伝わった。
止血のため綿みたいのを噛まされてまた意識が飛んだ。
気づいたら病室にいて、横に夫と看護師さんがいた。点滴から痛み止めや抗生剤、栄養剤が流されている。
痛み止めのおかげか思ってたほどの痛みはない。
このあたりの記憶は途切れ途切れなのだが看護師さんに、痛いより気持ち悪いと言ったのは覚えている。
夫がヨーグルトを買ってきて冷蔵庫に入れようとしているが、テレビカードを挿さないと通電しないことを伝えるも、声が思うように出ないので一苦労。手術時間がどのくらいだったか聞いても夫には私が何を言ってるのか聞き取れない。(実際は2時間15分位)無理して声を出そうとするのがしんどくて何だか気分も悪い。もう寝てしまいたいので夫に帰ってもらった。
携帯を横に置いとくから気分良くなったら連絡してと言われたが、多分無理だ。
そのまま3時間ほど寝たようだ。20時頃看護師さんに起こされ、
「もう麻酔は切れてるからトイレまで歩いてみましょう」
まだ気分が悪い。嫌な予感がして、ちょっと無理かもと答える。さっきより声は出る。
看護師さんは怠けるなとばかりに、もう立てるはずだからトライしましょう、と有無を言わさずベッドの背を起こした。体が垂直に近づくとやっぱりキタ。いつもの麻酔後遺症だ。これはマズい。
「やっぱり無理です。気持ち悪い。吐くかも」
看護師さんに悪気はないのだろうがガン無視。ちょっと足をベッドの横に下ろしてみてねと、どうしても立たせようとする。
もう嘔吐確定。ベッド脇に置いてくれていた吐く用のオケをガシッとつかみ口元に当てその時に備える。
恐る恐るベッドから腰を上げ、言われるままに足踏みした瞬間、
リバース。何度も。ほらね。
看護師さんもやっと本気でヤバかったことをわかってくれて、ちょっと一旦座りましょと言ってくれる。
ここからもうずっと吐き気との戦い。
気分悪くて目も開けられない。動けないから口もゆすげない。看護師さんにテーブルから箱ティッシュを取ってもらって口元を吹くことしかできない。厳しい〜。麻酔のばか。
嘔吐物は主に血。(手術時に大量に飲み込んだ?)口の中が血の味で充満してる。おえ。
ちょっと休んでまたトライしましょうと看護師さんはベッドの背を立てたまま去った。私は横向きで斜めにベッドに寄りかかり、足をベッド横に下ろしたまま休む。まだやるのかよ〜泣。
しばらくしたら医師が回診に来て、グッタリしている私を見て目を丸くした。ここぞとばかりに立ち上がれませんアピールをしたら無理しなくていいと言うので、ベッドを平らに戻して横になった。
とにかく寝なくては。睡眠が一番の薬なのは経験上良くわかっている。しばし眠らせて下さい…
22時頃 夜勤の看護師さんが来てトイレの心配。初めて歩く時は必ず付添う決まりなのだ。そんなに尿意はないものの、沢山点滴してるからと言われると不安になり、もう一度起き上がってみる。
再びリバース。
こりゃ無理だ。看護師さんも「起き上がるのは無理ですね、もしトイレ行きたくなったらこれ使って下さい」と尿瓶とトイレットペーパーをベッド脇に置いた。マジですか。
気持ち悪さと尿意の気がかりが行ったり来たりしながら時間が過ぎていく。
深夜を過ぎて尿意が強まる。これだけ点滴されてたら朝まではもたない。出すしかない。吐き気を堪えて寝ながら尿瓶に挑むが使用法がわからず悪戦苦闘して、結局ナースコール。
看護師さんが手伝ってくれたが部屋では無意識の羞恥心が働くのか出ない。やっぱりトイレに行くしかないと立ち上がると、
再々リバース。(しつこい)
でも今行かないとまた看護師さんに迷惑をかける。自分で口元にオケと箱ティッシュを抱え、看護師さんが点滴スタンドを引きながら私を支える。
この間も吐き気が止まらずトイレ内でもリバース。オケにはまだドス黒い(赤い?)血。なんじゃコリャ。トイレ内の洗面台でやっと口をゆすぐ。血だらけでグロい。
出すものを出して口もゆすげて少しホッとしてベッドに戻る。おかげでその後少し眠れたようだ。
【まだ続く】