専業主婦に憧れて

退職後の時間潰し日記

渡米初日に見舞われた【前半】

今までのブログで、間が悪いとか、変な人を寄せ付けるパワーがすごいとか、損な役回りを引き受けがちとかいうことを書いてきたので、過去のブログを読んでいただいた方には察しがついているかもしれないが、私は世渡り上手でもなく、特別要領がいいわけでもなく、割とハプニングが付き物の人生を送ってきた。それは約30年前にアメリカへ語学留学した初日にもやはり起きていた。

ちなみに留学先はカリフォルニアの州都サクラメント。語学学校が州立サクラメント大学内だったため、現地の大学生と同じ教室やカフェテラスを共有し、ちょっとした大学生気分を味わえるということで選んだ。

その時の私の語学力は、学歴は英文科卒業だが、英語とは無縁の会社生活を数年過ごしたのちの留学だったので、英語は授業のみの知識、なんとなくわかる単語はあるが、会話はそんなにできないという、ごく一般的な日本人の英語力という状態だった。

 

留学斡旋会社が手配した飛行予定は成田→ロサンゼルス(乗り換え)→サクラメントだった。ロスでの乗り換えさえ無事に済ませば、あとは目的地に到着する手はずだったので、ロスが最大の難所だと思っていた。

まずはロスに到着。ドキドキしながら入国手続きを終え(中川家が真似する入国審査官にかなり近いw)、スーツケースを一旦ピックアップして税関検査。乗り換えのため再度搭乗手続き後にスーツケースを預け、広いロス空港の中を乗り換えターミナルへ移動。順調に搭乗ゲート付近に辿り着いた。

諸々のもたつきは多少あったにせよ、私にしては珍しくここまでトラブルもなく、無事に難所をクリア!心底ホッとした。あとは飛行機に乗ればホストマザーがサクラメント空港で待っているから、もう大丈夫だ。

安心した途端に急に余裕が出て、搭乗までの待ち時間にハガキを買って家族宛のエアメールを書いた。(当時はラインなんて便利なものはなかった)日本を離れ、新たなスタートは上々と調子に乗っていた。

さて搭乗時間。思っていたより小ぶりな飛行機に乗り込む。ちょっとだけその小ささに違和感を覚えながらも、これに乗ればあと約1時間半でサクラメントに着くのだと確信する気持ちの方が強く、座席に着いた。

 

ところがである。まだ離陸して30分経ったか経たないかくらいで、高度が下がってきたのに気付く。焦ってアナウンスに耳を傾けると、どうも着陸準備に入っているようだ。

あれ、予定より早いけどもう着くのかな?

窓から下を見てみると、広大な荒野の中にポツンと小さな空港が見えた。(私の頭に残る30年前のイメージは本当にそんな感じ)とてもカリフォルニアの州都の飛行場には見えない。なんとなく嫌な予感がしながらも、

予定表にはこの飛行機でサクラメントに着くと書いてあるんだから大丈夫!

と、何も見ていない、何も起きていないフリをしてみる。平常心を保つために嫌な予感は頭から排除して。

しかし、そんな私の虚しい現実逃避をよそに、非情にも飛行機はどんどん下がっていく。さすがに私もこれはただ事じゃないと察したが、一体どういうことなのか。めちゃめちゃ心細くなってくる。さっきまでの安堵感はどこへやら。

座席前の画面には、現在地を示す地図が出ていて、どうやらベイカーズフィールドという所のようだ。サクラメントよりだいぶ手前、ロスからちょっとしか進んでいない位置だった。

え、こんな所で降ろされるの?!聞いてないよー!
で、でもサクラメントまで行く手配なんだから、一旦着陸してまた飛び立つのかな?あそこからサクラメントに行く人たちを乗せて?きっとそうだ、だから私はこのまま乗ってていいのかな?(←バスか)

そんなアホな考えを否定したり肯定したり、頭の中でグルグルと考えを巡らせるが、想定外すぎてプチパニック。落ち着けと自分に言い聞かせ、再びアナウンスに耳を澄ます。着陸するのは間違いないようだが、そのあとに”サクラメントがどうのこうの”と言っているみたい。でも全然聞き取れない。そこが一番知りたいのに!泣

着陸すると乗客は全員が当然のように降り、私も降ろされてしまった。ここから先は予定表には載っていない。突然見知らぬ土地に一人放り出され、幼い頃に迷子になった時の絶望感がふと蘇る。しかし大人になった今は自分で切り抜けるしかないのだ。

まずは深呼吸。恐らくここでサクラメント行きの飛行機に乗り換えるのか?と乗客たちの後を着いていくことにした。

【大した話じゃないけど長くなったので続きます】